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佐瀬貴之FP事務所トップ > ケーススタディ1 老後資金が心配な佐藤さんご夫婦

老後資金が心配な佐藤さんご夫婦

暖かい2月の木曜日。
暖冬のおかげで昨今値段が上がっていた灯油も今年は需要不足で安くなっているようだ。

桜の開花宣言も例年よりかなり早くなると今朝のニュースでお天気お姉さんが言っていた。

確かにこの冬は暖かい。しばれるような寒さを感じた日は数えるほどしかない。
冬に暖かいということは過ごしやすくていいはずなのだが、人間は天邪鬼で暖かいと四季が感じられないと嘆いたりするのだから困りものだ。

日本人は四季をしっかり感じないと物足りなく思ってしまうのだろうか。

暖かいとは言え、暖房をいれないと寒いので、暖房をいれるのだが、
暖かくなりすぎて眠気に襲われてついつい昼寝をしてしまいそうになる。

でも今日ばかりは昼寝をしてはいられない。
というのもの今日は、先日お問合せのあったご夫婦の佐藤さん(仮名)が相談に来る日だからだ。

「こんにちは」
佐藤さんがあいさつをしながら入ってきた。

「こんにちは、お待ちしておりました」

「今日はどういったことでご相談にいらしのですか」

「実は、先日妻と一緒にテレビを見ていたら、老後の生活資金に必要なお金の特集をやっていたのです」

「そうですね、最近よく新聞や雑誌などでもよく記事を目にしますね」

「ええ、そうなんです。それでそのテレビを見ていたら、老後の生活資金は1億円は必要だって言ってたんです」

「なるほど」

「妻と話をしていて、そんなお金絶対用意できないよねって話になったのですが、なんだか心配になってしまって…」

「それで、今日相談に来られたということですか」

「そうです。急に老後の生活資金のことが心配になってしまって、夜も気になってよく眠れないんです」

「それで妻が専門家に一度相談した方が良いよと言い出して、インターネットで調べてくれたんです」

「私の事務所を見つけて今日お越しになったということですか」

「はい」

「老後の生活資金って、本当に1億円も必要なんでしょうか」

「そうですね、ではその1億円と言われている根拠について話しましょう」

老後の生活資金として必要なのは1億円…。
最近よく老後の生活資金の記事やニュースなどを目にすることも多いことでしょう。

一般的な方の金銭感覚からすると、1億円は非常に大きな金額のように感じるのではないでしょうか。

本当に1億円が必要なのかどうか。よく考えてみましょう。

通常会社員の場合、60歳で定年になります。高齢化社会に適応しつつあるとはいえ、65歳定年という会社はまだまだ少ないのが現状です。

そして今40代、30代の会社員は、年金が65歳からでないともらえません。
すると定年退職してから65歳の年金開始までの間は、無収入となってしまいます。

一方、生活費はどうなのでしょうか。
ゆとりのあるセカンドライフの生活費についての統計があります。

セカンドライフの最低日常生活費     … 24.2万円(月額)
セカンドライフのゆとりのための上乗せ額 … 13.7万円(月額)
ゆとりのあるセカンドライフ生活費    … 37.9万円(月額/上記合算値)
<生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/平成16年度>から引用

つまりゆとりのあるセカンドライフを送るためには月々約38万円が必要ということです。

それがいつまで必要なのか。

平均寿命 男…78.64歳 女…・85.59歳
<厚生労働省「平成16年簡易生命表>から引用

80歳までは生きると仮定すると、60歳で定年してから20年間生きることになります。

すると生活費は…
38万円 × 12ヶ月 × 20年間 = 9,120万円
必要となるということです。

老後の生活資金1億円というのは、上記のことから導き出されたものなんです。

「そうかぁ、確かに60歳で定年退職したら、年金で生活すればいいやっておもっていたけど、
ゆとりのある生活を楽しもうと思ったら、1億円必要なのか」

「なんだか、気が遠くなりそうな数字ね」

「そうですね、確かに1億円と言われると、とても大きな金額のように感じてしまいますね」

「ですが、この1億円という数字ばかりが一人歩きしている面もあります」

「といいますと?」

「確かにゆとりのあるセカンドライフを送ろうと思ったら1億円ぐらいは必要なのでしょう」

「ですが、この1億円もすでに準備しているお金も含めていますから、そこを考慮しなくては
いけません」

「えっ!そうなんですか?」

「では、すでに準備済みのお金についても見ていきましょう」

年金ですが、まず国民年金から老齢基礎年金が出ます。
20歳から60歳まで40年間払い続けると、65歳から約80万円(年間)が出ます。

また、会社員であれば厚生年金からも老齢厚生年金が支給されます。
こちらは大体約200万円(年間)程出ます。

※これらは平均的な金額なので、一律誰もがこれだけもらえるという意味ではありません。

すると、会社員の場合、65歳から毎年約280万円が支給されることになります。

すると年金の合計額は…
280万円 × (80歳 − 65歳) = 5,600万円
となります。

これに定年退職した時に退職金が出ます。
大学卒の退職金は35年以上勤めた場合、退職一時金、退職年金制度合わせて2,656万円とされています。<厚生労働省「就労条件総合調査」/平成15年>より引用

約2,500万円は退職金を受け取れるとしましょう。

すると…
5,600万円 + 2,500万円 = 8,100万円
となります。

先ほど計算した老後の生活資金との差額を求めてみると…
9,120万円 − 8,100万円 = 1,020万円
となります。

「そうすると、足りないのは1,020万円だけってことですか」

「まあ、これは平均的な数値を使っての計算ですから一概にすべて人がそうだと言い切れる
訳ではないのですが、少なくとも1億円という数字よりはかなり少ないとは言えるでしょう」

「なんだか、だいぶ希望が持てるような気がしてきました。1億円と言われるとえっーと思ってしまいますが、1,000万円とか2,000万円というと、なんだか届きそうな気がします」

「でも、この数値を聞いたからと言って楽観的になりすぎるのも禁物ですよ」

「えっ!どうしてですか」

「ご存知かと思いますが、日本はものすごいスピードで少子高齢化社会になりつつあります」

「そのため、今の年金制度が維持できない可能性があるからです」

「本当ですか」

現在の日本の公的年金制度は賦課方式と言って、働いている人から徴収したお金を年金を受け取る人に配分しているのです。

一般の生命保険会社で行う個人年金は、積立方式といって、自分が将来受け取る年金は自分が払った保険料が運用されて自分自身が受け取るというものです。

賦課方式の場合、生まれてくる子供が増え続ける限り問題ないのですが、今の日本のように少子化が進むと将来年金を負担する人が少なくなってしまい、働いている人の負荷が大きくなってしまうのです。

少子高齢化と言う事は、もらう人が多くなって、払う人が少なくなるということですから、
制度を維持しようとすると、もらう額を減らして負担を少なくするか、もらう額をそのままにして負担を多くするかしないと破綻してしまうことになります。

どちらにしてもこのままでは制度が破綻してしまいますから、なんらかの改革が必要な状況です。

とすると、40代以下の人が考えなければいけないことはなんでしょうか。

年金という制度自体がなくなってしまうということはあまり考えられませんから、老後の生活資金の一部としてあてにしていてもよいでしょう。

ただ、どれだけの年金が出るかはわかりませんし、あまりあてにし過ぎて、将来思ったよりも少ない額しかもらえないとなった時、その時になって慌てても遅いのです。

ですから、老後の生活資金のことを考えると、なんらかの自助努力が必要ということになります。

今世の中で「資産運用」があちこちで叫ばれているのは、こうした背景があるからです。

国も今まではすべてを面倒みましょうというスタンスから、今後は自分でなんとかしなさいというスタンスに変わっています。

そのため、自己責任と言う事が言われたり、法律も含めた制度の整備が着実に進んでいるのです。

つまり…
これからの時代は、どんな人でも「資産運用」が必要なのです。

やるかやらないかで、老後の生活が大きく変わってしまいます。
できるだけ早くにそのための一歩を踏み出すことが大切です。

「そうか、1億円という金額に圧倒されて、心配になってこちらに相談に来たけど、やっぱり資産運用は必要なんですね」

「そうですね、これからは自分の老後の生活資金は、自分ですべて用意するぐらいの気持ちでいた方がよいと思いますよ」

「ところで具体的な資産運用の方法って言うのは、ご相談に乗っていただけるんですか」

「もちろんですよ。佐藤様の将来の為の資産運用を、一緒に考えていきましょう」

そう話をしているうちに3時間以上も経ってしまっていた。
お互いに真剣に話をしていると、いつも時間を忘れて相談にのめりこんでしまう。

初回相談は1時間とうたっているけど、1時間で終わったためしがない。
3時間くらいは当たり前だ。

でもお客様の心配ごとや不満が解消されてきた時の笑顔が見ると、疲れを感じることはない。最初に見せた不安そうな顔が、帰る時には安心した顔になっていると、少しは役に立てたかなと思う。

お客様から「ありがとうございました」と言われると、ああ、この仕事をしていて良かったなと
心から思う。

そんな日に飲むビールは格別においしく感じる。
今日もきっとビールがおいしいに違いない…。

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